わが家の災害対策ノート

洪水・内水氾濫への家庭対策:浸水防止と迅速な避難準備ガイド

Tags: 水害対策, 洪水, 内水氾濫, 浸水対策, 避難準備, ハザードマップ

はじめに:増加する水害リスクへの認識

近年、気候変動の影響等により、線状降水帯の発生やゲリラ豪雨といった局地的な大雨が増加・激甚化しており、それに伴う洪水や内水氾濫のリスクが高まっています。これまでの災害対策は地震に重点が置かれることが多かったかもしれません。しかし、ご自宅がこれらの水害リスクエリアに位置している場合、地震対策と同様に、あるいはそれ以上に水害への備えが喫緊の課題となります。

水害への対策は、発生後の対応もさることながら、被害を未然に防ぐ、あるいは最小限に抑えるための事前の準備が非常に重要です。本記事では、ご自宅の水害リスクを正確に把握する方法から、具体的な浸水防止策、そしていざという時のための迅速な避難準備について解説します。これらの情報を参考に、ご自身の家庭における水害対策を見直す機会としていただければ幸いです。

自宅の水害リスクを正確に知る方法

効果的な水害対策を講じるためには、まずご自宅がどのような水害リスクに晒されているのかを正確に把握することが第一歩です。

ハザードマップの活用

各自治体は、河川の氾濫による洪水浸水想定区域、下水道の排水能力を超過した場合に発生する内水氾濫、高潮などに関するハザードマップを公開しています。これらのマップは、過去のデータや地形、河川構造などを基に作成されており、予測される浸水の深さや範囲が色分けされて示されています。

ハザードマップはインターネットで「〇〇市(お住まいの自治体名)ハザードマップ」と検索することで容易に入手できます。最新の情報を確認するようにしてください。

自治体からの情報とリアルタイム情報の確認

災害発生時には、自治体から避難勧告や避難指示などの情報が発令されます。これらの情報は、テレビ、ラジオ、インターネット、防災無線、自治体のSNSなどで提供されます。

また、国土交通省や気象庁、各自治体は河川の水位情報や雨量情報をリアルタイムで公開しています。これらの情報を日頃から確認する習慣をつけることで、早めの避難判断に役立てることができます。スマートフォンのアプリなどを活用することも有効です。

過去の浸水実績や地形からのリスク判断

ハザードマップだけでなく、地域の高齢者や自治会の情報から、過去に浸水被害があった場所や時期を確認することも参考になります。また、ご自宅周辺の地形が周囲より低い、水はけが悪いといった情報も、内水氾濫のリスクを判断する材料となります。

浸水被害を最小限に抑える具体的な対策

ご自宅の水害リスクを把握したら、次に具体的な浸水対策を講じます。ここでは、家屋への浸水を防ぐ対策と、家財を保護する対策について解説します。

家屋への浸水対策

家財の保護

浸水が避けられない場合でも、被害を最小限に抑えるために、重要な家財や貴重品を守る対策を講じます。

迅速かつ安全な避難準備

水害時には、浸水対策と同時に、またはそれ以上に、安全なタイミングでの避難が重要となります。

避難計画の再確認

地震の場合と同様に、水害時にも事前に避難計画を立てておくことが不可欠です。

緊急避難袋(非常用持ち出し袋)の準備

水害の場合、地震の場合とは異なる備品が必要になることがあります。一般的な防災グッズに加えて、水害を想定した備えを追加します。

これらの備品をリスト化し、すぐに持ち出せる場所に保管しておきます。定期的に中身を確認し、食料や水の賞味期限、薬の使用期限を管理します。

情報収集手段の確保

災害時には、正確な情報を迅速に入手することが安全な行動につながります。

停電時でも情報を得られるよう、複数の手段を確保しておくことが望ましいです。自治体の防災アプリや、気象庁のアプリなどを活用することも有効です。

避難判断基準の理解

自治体から発令される警戒レベルは、災害発生の危険度と取るべき行動を示しています。

警戒レベル4が発令されたら、危険な場所から全員避難が必要です。しかし、状況によっては警戒レベル3でも速やかに避難を開始することが推奨される場合があります。お住まいの地域の警戒レベルと、それに伴う避難情報を日頃から確認し、理解しておくことが重要です。

車での避難のリスク

車での避難は、渋滞に巻き込まれたり、浸水した道路で立ち往生したりするリスクがあります。特に夜間や視界の悪い状況では、路面状況の判断が難しく危険が伴います。原則として、徒歩での安全な避難を検討し、車での避難は避難所までの距離や同乗者の状況などを考慮して慎重に判断する必要があります。やむを得ず車で避難する場合でも、冠水している場所には決して進入しないようにしてください。

まとめ:水害対策は継続的な取り組み

洪水や内水氾濫といった水害への対策は、地震対策と同様に、そしてお住まいの地域の特性によってはそれ以上に、家庭における重要な防災対策の一つです。本記事では、水害リスクの把握、具体的な浸水防止策、そして迅速な避難準備について解説しました。

水害対策は一度行えば完了するものではありません。地域の開発状況や気候変動により、リスクの評価は変化する可能性があります。また、備蓄品の確認や避難計画の見直しも定期的に行う必要があります。本記事の内容を参考に、ご自身の家庭における水害対策を具体的に見直し、継続的な備えを実行していくことをお勧めします。事前の知識と準備が、ご自身とご家族の安全を守るための最も確実な方法です。